
この作品に登場するヒロイン秋月唯子は、地味で平凡な人妻だ。
彼女には寮生活を送る学生の息子と、期間限定の単身赴任をしている夫がいる。
今は不在の愛するふたり。
寂しくないといえば嘘になるけど、彼らが帰ってくるまであと半年の辛抱。平穏で平和な満ち足りた日々にもうすぐ戻る。それまで健気に家を守る。
そう心に決める。
いや、それほど強い決心が必要な状況にはない。
日々をていねいに生きていれば自然に時は経過する。その時はいずれやってくる。
そのはずだったのに……
ある日突然現われたちん入者。まねかれざる客。ファンタジーなら平穏をぶっ壊す魔物。
旦那の遠い親戚である満司とその息子、聖満だ。
「家を追い出されて息子とふたり、行く場所がないんだ」
満司は土下座までして家に上がり込んでくる。断ろうとする唯子を押し切って。優しさにつけ込んで。もちろん体を狙われている。しかし平凡な主婦は自分に女としての魅力があるとは思っていないのだろう。
だから油断をする。情にほだされる。
晩酌に付き合い、酔って愚痴をこぼしてしまう。聞き役に回ってくれた満司を「悪いひとじゃないのかも」なんて思ってしまう。
残念だが。
魔の手から逃れるための魔法は、平凡な主婦に宿ることはない。
月下香の檻・概要
作者:山文京伝
【FANZA(元DMM)】
月下香の檻
【DLsite】
月下香の檻
作品形式は白黒の漫画。1巻211ページでは完結しないボリューミーな物語です。
セオリーの寝取られだが
寝取られを題材にすれば興味を持ってもらえるだろう、という安易な作りではない。
絵は正直、誰が見ても上手いと納得できる類のものではないが、唯子が堕ちていくプロセスがじっくり描かれていてるところに好感。ストーリーの運び(プロット)に力が入っています。
当然絵が上手いにこしたことはないのですが、上手いけど運びが下手だと大きな興奮は得られなかったりしますよね。
難しいところですが、
本作はプロセスやシチュエーションを重視する人に適した作品なのだと思います。
不気味な子ども
ストーリーに奥行きを与えるのが、満司の息子、聖満。
作中はっきりとした年齢は示されませんが、雰囲気からすると小学校の高学年くらいでしょうか。
「うちの父ちゃんキツネかタヌキ~ 夜の夜中に穴探す…」
すごい無口で暗い目をした少年です。上記のような民謡をふいに歌ったり(吹出しが聖満に向かってないので父親かもしれません)して作品に不気味な雰囲気を漂わせる。
この聖満とも唯子はヤル。というよりヤラれる。
自分の息子よりも年下の子どもにつらぬかれて体を震わせてしまう快感と葛藤。
大きくゆさぶられた心の隙間は、悪意が巣を張るのに絶好の場所。
飼い慣らされていく牝肉
酔わされ、寝ている間にヤラれて快感を覚えさせられ、満司の巨根に飼い慣らされていくプロセスに緊縛は重要な要素として登場する。
縛ってから服を着させられ、秘密のSMクラブに連れていかれるシーンがある。そこで唯子は自分と同じ主婦が縛られ、吊され、すっかり牝奴隷と化した姿を目の当たりにする。
こうして次第に、そして継続的に未体験の刺激や快感を与えられて堕ちていく唯子の心身。
息子が寝ている隣で――など、背徳的なシーンも描かれています。
最後に
寝取り、そして調教ものとして秀作ではありますが、絵のタッチも含めて万人受けする作品ではないでしょう。FANZAでは短いですがサンプルも用意されているので、好みに合うかじっくり見定めてみてください。
【FANZA(元DMM)】
月下香の檻
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パート②
※月下香(げっかこう・チューベローズ)は夜になると強い香りを放つ球根植物。花言葉は『危険な関係』『危険な楽しみ』